にじみ出る母性


「お母さんにもお父さんにも自覚ないと思うけどさ、
 いずみのところの家族って逆転親子だよね。
 いずみが親で、両親が子供みたい」

保育園の保母さんも、
小学校の先生も、
児童相談所の児福司さんも、
誰もがそう言っていた我が家に、ついに救世主が現れました。

男性なのに何故か母性にあふれる謎のパキスタン人!その名もサム!!




・その1

おおよそ昨日の午前4時頃のこと。

「ちょりん(母のこと)、
 いーちゃんに布団をかけてあげて下さい」

「ん、なんで?」
「ほら、いーちゃん、こんなに縮こまってるよ?
 寒いせいじゃないの? なんにもかぶってないし」

「そうかなあ?」
「そうです。さあ早く」

サムの一声で、眠たくて面倒だと思った母も、仕方なしに毛布をかけました。
ちなみに私は一度眠ったらテコでも起きない人間なので、
この間のことは全く覚えていません。

そうして、朝目覚めた私の身体の上には、
見覚えのない毛布が幾重にも重ねてかけられていました。

「……?」

布団を抱えて憮然とした表情(だったと思われる)の私に
母が得々と説明してくれました。

「ああ、いずみ。
 その毛布はかくかくじかじかでな……」

「……」

私の お母さんは どちらなので しょう。


・その2

今日の昼のこと。

「いーちょりん、ご飯食べた?」

「うん、食べましたよ。
 昨日母が散歩ついでに買ってきてくれたガリガリ君(ソーダ味)を。」


正直、
この夏は蜂蜜ヨーグルトだけで越し、
中学生の過食拒食を繰り返していた頃は
毎朝マラソンをしながらもオレンジジュース150mlだけで週を過ごしたという、
食欲の増減の激しい私には、ガリガリ君すらも立派なゴハンです。

そう答えると、サムは「めっ」という顔をして言いました。

「アイスはご飯じゃありません。
 私には時間がないから作れないけど、必ずご飯を食べて学校に行くこと!
 いいですか?」


あんまりの剣幕に、私はコクコクとうなずくしかありません。

「じゃーねー、いーちょりーん」

そうしてサムは仕事へと、颯爽と去っていきました。

「……」

あんな、自分の(実の)父母は今年で四十路になるねん。
やけどな、サムちゃんはな、来年の二月でようやく三十路やろ?
ぶっちゃけな、実の子供すらもまだ生まれてない状況でな、
ただ単に結婚相手が太古の時代に子供を産んでただけっていう、
自分の人生の半分以上生きてる異国の地の義理の子に対してな、
一体その身体のどこから母性が出てくんねん!


思わず素の口調でモノローグが浮かんできてしまいます。

正直、三人の親の中で一番親らしいことしてくれてるの、サムちゃんだよなぁ。
感謝、感謝。
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by esther21 | 2007-09-20 12:46 | 家族  

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