だまれジャイアン


『雨宮さん、7日ひま?
 カラオケ行かない?』

ある日、歌に飢えていた自分に、カコ先輩がこうメールしてきた。

『Σ どうしたんですか、カコ先輩ともあろう人がっ!?
 い、いや、行きます! 是非とも行かさせていただきます!』


こうして、私は今日、カコ先輩たちとカラオケに行くことになりました。



「6人居るから」といわれたものの、当日までメンバーは聞いていないまま。
私と一緒に、柔道部のサノ先輩も誘われたようですが、
サノ先輩は残念ながら部活が入っていたため、欠席した様子。
てっきり前会長やチャラ(現会長)あたりが来るとばかり思っていたのですが、

「ああ、メンバー?
 エマ先輩と、ミワ先輩と……あと、私の中学生時代の同級生の男子二人!

中学の同級生の男子って……
Σ 自分の知らない人たちじゃねえか! 先輩!!

「ま、なんとかなるさねー。あ、エマ先輩たち来た」

エマ先輩ミワ先輩は、前期生徒会の関係者です。

「いずみー! 久しぶりー!!」
「やあやあ、いずみくん」
「お久しぶりっすー」

前期の1年生は実質私だけだったので、
そりゃあもう、可愛がられるわ可愛がられるわ。
3年生は1年生に甘いという、フィクションでの法則はそのまま現実にも当てはまるようでした。

ひとしきり会話を楽しみ、キヨスクでお菓子を漁っていると、
約束時間を大幅にすぎて、駅前をうろついている怪しい大柄の男。

「あ、あの子だ」

Σ あれ、先輩の同級生っすか!?
体格的にもっと上に見えますがっ

「おいっす、久しぶりっす、カコさん」

結局、カコ先輩の同級生のうち一人は来ず、
この大柄男、カコ先輩、私、エマ先輩ミワ先輩の5人で行くことに。

ところが、カラオケボックスに入った瞬間、この同級生は凄かったのです。

まず、「俺の……」から始まる自分の自慢話を一方的に切れ目なく話し続ける。
些細な呼びかけにもやたらなれなれしく身体を触ってくる。
何かと理由をつけては、やたら女性陣の手を握る足を握る横に立つ。
おまけに、最初にB'zの「衝動」を歌ったときの、場の硬直具合。

音痴……

キーが違うとかそういうのだったら分かる。私もよくやる。
しかし、音が上がるところで下がるってどういうことだ。
これって別の曲じゃないか。

自分の音痴さ加減にはどうも気がついていないらしく、
俺の出番だぜと言わんばかりにバンバン曲を入れる入れる。その全てが下手。
この大柄男が歌うときに限ってトイレに行くメンバー続出。

さらにひどいのが、ワンピースの「ウィーアー!」を自信満々に入れたこのジャイアンの、

「あ、思ったよりもあんまりうまく歌えなかった。
 そこの後輩くんも一緒に歌ってよ」

(;´Д`)あああああ
音が引きずられる引きずられるーヤメテーせめて一人で歌わせてー!
助けて先輩ー! あ、目をそらさないでー!!

_| ̄|○

こんな、音痴が、世の中に、本当に存在するなんて。
元同級生のカコ先輩をのぞく全員が思っていたようです。
「やめてくれ、もう歌わないでくれ」。

カラオケが終わり、ジャイアンやカコ先輩と分かれた我ら3人は呟くように言い合いました。

「カコにはあいつを二度と連れてこないように、強く言っておこうね」
「あれは、もはや凶器ですね……」
「今度はカラオケ、いずみとカコとエマちゃんと、4人で行こうね」
「出来れば、もうあの人と会いたくないなあ……」

ちなみに私以外の全員の先輩方は歌がうまかったので、
哀れにもジャイアンのジャイアンっぷりは余計目立ちました。
性格面もかなりひどく、会って一日でこんなに嫌いになった人間は、
雨宮こんなに生きてきて初めてでした。

あ、あとな、ジャイアンよ。
人の使うマイクなんだから、口つけて喋ったり歌ったりするのマジでやめようや。
マナーがこんなになってない年上初めてみた。
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by esther21 | 2007-10-07 19:24 | 日記  

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