夏と苗字の子


母親と話していなくても、言葉が通じなくても、
気楽に過ごさせてくれる、そういう努力をしてくれる
パキスタンのこの家族が私は好きです。

正直、まったく血のつながらない嫁の連れ子として、
実家のほうに冷遇される覚悟ももって
パキスタンに渡ってきたけれど、
そんな心配をしたのがなんだか申し訳なるくらいに
皆色々と気を配ってくれて、それがすごくありがたい。





さて、御用聞き係のナフィサを始めとする、
サムの実家の人々は、私のことを「イズミ」と呼ぶのですが、
どうやらこの名前、ダダアブ(サムパパ)にとっては
これが大層覚えにくい単語のようで。

「ズミー……?」
「イー……アー……」

なかなか私を呼ばないな、と思っていたら、
単に名前が覚えられなかっただけの様子。
試行錯誤を重ね、ついに昨日つけられた(?)名前が

「サマー」

いや、6月も末のことなので summer 生まれには間違いないんですがっ!
おじいさま、いくらなんでも「夏」呼ばわりはないと思います。
義孫はちょっと悲しい。

サムが必死に教えてくれて、今日になって
ようやっと、「イズミ」と覚えてくれました。
よかったよかった。

それから名前ついでに。
ミヤジが決してサラのことを名前で呼んでくれません。
(「ミヤジ」は本当は「おじいちゃん」のことですが、ここでは「サム達の」おじいちゃん)

年老いて生まれたひ孫。しかも長男の子供。
ミヤジだって、腰が悪いなりにそりゃもうベタベタとかわいがっていますが、
それでも私の弟のことを、決して名前では呼んでくれないのです。
まるっきり日本人の私の名前と違って、サラの名前はパキスタンの名前。
覚えられないということもないはず。

それでは「サラ」と呼ばずに何と呼ぶかと申せば、
2ヶ月の赤ん坊のことを苗字で呼んでいるのでした。

私がひいじいちゃんに「雨宮さん」と呼ばれるようなもので、
なんでそんなによそよそしいんだ? と思っていたら……

「なあ、サムちゃん、なんでサラは苗字で呼ばれてるん?」
「あのね、ミヤジの長男は私のアブジ(お父さん)でしょ。
 アブジの長男は私でしょ。私の長男はサラでしょ。
 サラはこの家の跡継ぎだから、ミヤジは可愛がって苗字で呼んでるんだよ」


ほーう、なるほど、サラはこの一家の大事な跡目だったわけか。全然知らなかった。
日本じゃ「まるはげ」とか「プルファー(鼻息が荒いから)」とか、
おおよそ跡継ぎに似つかわしくないあだ名で呼んでたぞ。主に私が。

……ん?

ということは、サム「」大事な跡継ぎなんじゃないのか?
ダダアブの大事な長男坊なんだろ?
日本でパキスタン人のおっさん達と呑気に宴会なんてしてていいのか?

「んー、いいんだよー」

サム、言葉を濁して特に答えず。
……ひぐらしの茜さんみたいなもんか?
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by esther21 | 2007-12-22 21:00 | 家族  

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