弟よ、君の名は
名前っていうのは、それを使っている人々じゃないと分からない
ニュアンスってものがあります。
きっと外国人から見れば、日本人の名前なんて皆いっしょくたでしょう。
しかし、夜露死苦みたいな当て字(が全て悪いとは言いませんが)や、
「ココアちゃん」なんて名前は、一般的に、
「親が阿呆なんだな。子供がかわいそうだ」といわれるのがオチです。
また、男の子に、「安次郎」だの「小太郎」だの名付けた日には、
名前が古すぎて、子供同士でいじめられるに違いありません。
イスラム圏にも同じことが言えるようです。
「サラ(仮名)なんて、本当は古い名前だよ」
「そうなの!?」
「ええ!?」
以前、弟の名を日本語翻訳すると「ひでお」だと書いたことがありました。
あまみやひでお。
その響きがまさに幾世代前の香りがします。
しかし、日本語翻訳しなくても、弟は十分に幾世代か前の香りのする名前であるようでした。
何故ひでおかというと、弟の名前は向こうでの英雄の名から拝借したため。
「そうだよ。今どきそんな名前の人いないよ。
あ、ついでに、職場の人は私のことシャフィって呼ぶけど、
あれも古くて、私は嫌だから私のことはきちんとサムって呼んでね」
「そ、そうなの?(;´Д`)
その感覚が、全然分からんぞや……」
弟の名前を聞いたとき、
弟もパキスタン人であることを全く知らない人は「なにそれ!?」という反応をとりますが、
知っている日本人たちは「格好よくて、いい名前だねー」と言います。
私や母もその日本人たちと同じ感覚で、
響きや日本人からの呼びやすさを考えて決めた名前ですから、
古い新しいなんてこれっぽっちも頭にありませんでした。
「古くてもね、いいからね。
もしサラが大きくなって、『自分の名前はどうやってついたの?』って聞いたときに、
『こういう人から名前を取ったんだよ』って胸を張ってね、
言えるようにそういう名前を持ってきたんですよ」
サム……。
あんた、いい父親になるな……。
名前は子供にあげる最初のプレゼント。
その考えは我が家庭共通であるようでした。
ちなみに。
私の本名は母原案ですが、まさしく一世代前の名前で、
おまけに前述した夜露死苦系の当て字です。
絶対に、正しく書いてもらえない読んでもらえない。
「世界にひとつだけの名前やで!ええやろ!!(゚∀゚)」
「てめえ、いつか絶対改名してやる!!」
母が自分のセンスを疑いもしないのが、激しく心配です。
by esther21 | 2007-09-30 22:18 | 家族